名前 | 雪華 Setsuka |
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性別 | 女 |
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出身 | 洋上。日本人の父とポルトガル人の母の間に生まれる。 |
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身長 | 167cm |
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体重 | 51kg |
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生年月日 | 不明。師から「雪華」の名を授かった3月20日を二人の記念の日としていた。 |
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血液型 | A型 |
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使用武器 | 仕込み傘(日本刀) |
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武器名 | 雨月・影打 |
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流派名 | 神伝対馬流抜刀術 |
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人間関係 | 現在は身寄りなし。 剣の師・九重舟元は決闘で深手を負い、一年前に死亡。 |
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CV | 大地葉 |
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ストーリー
雪のように白い肌、艶やかに輝く金の髪、彫の深いその貌には二つの紺碧の珠。ここ西日本の市井では、その姿は否応なしに人目を引く。だが、彼女は自らに向けられる眼差しを堂々と受けてなお凛と立っている。
彼女とて最初からこの気高さを纏っていたわけではない。混血の身なれば誰もが受けるであろう嫌悪、好奇心、心ない言葉に暴力。彼女もまた絶望の中で育ち、心を閉ざしていた。
両親の温かさは知らない。彼女はポルトガルから日本へと向かう船上で生を受け、両親は日本の地を踏むことなく病で死んだ。親類は異人の血を引く娘を“鬼の娘”と呼んで理不尽に虐げ、ついに彼女は家を逃げ出したのだった。
けれど、幼い身での旅が長く続くものではない。白い雪が降りしきる寒空の下で力尽きた彼女は、一人の男と出会う。遠宮舟元と名乗った若い剣士は、忌み嫌われ続けた彼女を雪原に咲いた花と呼んだ。「雪華」の名を与えられ始まった新たな暮らしは、凍てついた彼女の心を少しずつ溶かしてゆく。
舟元はその剣――抜刀術を雪華に教えはじめた。それは身を守り、生きるための術としてであったが、彼女はその才能を開花させる。いつしか修行は高度になってゆき、雪華は強さと美しさを兼ね備えた女性へと育った。二人は自分たちの絆を喜びとしながら、密かに暮らしてゆくのだと信じていた。
だが時代はそんな二人を放ってはおかなかった。舟元が修めた抜刀術、神伝対馬流の持つ闇が二人に静かに暮らすことを許さなかったのだ。
舟元はとある決闘によって負傷し、やがて世を去った。最期まで雪華に優しく、そして厳しく剣の指導をしながら。共に生きてきた者を失った雪華は、幼き頃感じていた孤独に再び浸されていくのを感じた。それでも……あのころとは違い、彼女には師が遺した抜刀術があった。舟元が立ち会った相手の名はわかっている。当代きっての武芸者、御剣平四郎。
雪積る師の墓前で彼女は呻く。死の縁で舟元は言い残した。師のための仇討ちを禁ずと。
――何故? 自分が弱いからだ。アタシの剣閃では、きっと返り討ちに遭うと……。
共に居て当然だった存在を失い、しかし復讐に生きることも許されない。一人残された雪華には、未だ進むべき道が見えなかった。
武器「雨月・影打」
神伝対馬流宗家・九重家に伝わる一振りの仕込み刀。かつて多くの伝承者と共にあった名刀であるが、己の剣に疑問を擁いた一人の男と共に九重家を離れ、彼の死と共に弟子である雪華へと渡るに至る。
彼女は師を想い、この刀を艶やかな衣で覆うことにした。拵えを変えた雨月・影打は彼女の想いを漏らすことなく、雪華の手に抱かれている。彼女がその技を以て刃を走らせるとき、そこには今は亡き師の面影が共にあるのだ。
なお、雨月には真打が存在する。刀鍛冶が日本刀を打つ際には一本ではなく数本の刀を打ち、そのうち最も出来の良いものを真打と称して納める。残りは手元に置くが、その真打以外の物を影打と称する。雨月・真打は手がけた刀鍛冶に生涯最高の一振りと言わしめた業物であるが、三代前の伝承者によって九重家に縁のある叢雲神社へと奉納された後、何者かに持ち去られ行方知れずとなっている。
流派「神伝対馬流抜刀術」
肥前国の武家に代々伝わり、宗家の名に由来して「九重流抜刀術」とも称する神速の剣技。その真髄は何編かの奥義書に分けられているといわれ、一説には剣技のみならず殺意を御し自在に放つ法すら修めるのだという。剣術流派にありがちな大言と一笑に付されなかった所以は、神伝対馬流抜刀術を修めた剣客が各地で残した数々の武勇伝によるものであろう。もっとも、その名を信じるならば神より伝えられた剣術となる。しかし抜刀術の成立時期を考えると、こればかりは流派の格を上げようとする試みだとする説が強い。
一たび刃を抜くや瞬時にして斬り終えるその技法は、発想からして暗殺のための剣に他ならない。たとえ剣技や型の名に古歌に由来する言葉を用い、また雪華のように刃を色鮮やかな傘に包もうとも、その本質を十全に覆い隠せているとは言い難い。事実、この流派には「裏九重」と呼ばれる暗部が存在し、彼らは主命に従って敵を闇へ葬ってきたという陰の歴史を持つ。裏九重の暗殺者たちは十手術や棒術などに加え、仕込み杖や仕込み傘といった暗器術、果ては怪しげな妖術までも習得していたと噂される。
研鑽を積み、精神を研ぎ澄ますことで限りなく鋭さを増してゆくこの流派は、身のこなし、刀の扱いのいずれにおいても人ならざる領域の技術を要求する。「雪」「月」「花」の名を冠した三種の極意を極めんと欲する者は、己のすべてを捧げてなお至れぬ境地に気付かされるという。――神によって伝えられた剣術――。その名に込められた真意を理解できるのは、人の道を離れ、飽く無き求道の極点へ踏み入った者だけなのかもしれない。